CRM分析はなぜ重要?その重要性からやり方、成功事例まで徹底紹介!

CRM分析はなぜ重要?その重要性からやり方、成功事例まで徹底紹介!

顧客ニーズの多様化や消費市場の変化にともない、さまざまな角度から顧客を分析し、顧客一人一人に合ったマーケティングが求められるようになりました。そんな中で注目を集めているのが、CRM分析という顧客分析の手法です。

今回は「CRM分析って何?」「なぜ注目を集めているの?」「どんなやり方があるの?」といった基本的な疑問にお応えします。

この記事でわかること
  • CRM分析とは何か
  • CRM分析の5つの手法
  • CRM分析のコツと成功事例

CRM分析とは?

CRM分析とは何か

CRMは、「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の頭文字です。

日本語にすると「顧客関係管理」という意味になり、顧客と良い関係性を築くことで自社の商品やサービスのファンになってもらい、継続的に利用してもらうためのマネジメント手法のことを指します。

顧客と良い関係性を築くには、顧客のニーズをきちんと理解した上で、顧客に合わせた最適なアプローチが必要になります。

しかし、消費行動が大きく変化し、価値観が多様化している現代では、顧客のニーズを的確にとらえることすら困難な状態になっています。

そこで登場したのがCRMの考え方です。CRMの観点で分析をすることによって、深い顧客理解とそれに合った施策の立案や選定が可能になります。

CRM分析はなぜ重要?

CRM分析が重要な理由

CRM分析を取り入れる前に、まずはCRM分析がなぜ重要視されているか、その背景を理解しておきましょう。

広告費の高騰

電通の報告によれば、2019年の広告費は6兆9,381億円(前年度101.9%)で8年連続のプラス成長を続けています。

また、インターネット広告費については6年連続2桁成長しており、2019年に初めてテレビメディア広告費を超える、2兆円を突破しました。

矢野経済研究所も同様に2019年12月の調査で、国内のインターネット広告市場は拡大を続け、2023年度は約2.8兆円を突破する見込みであると発表しています。

従来はテレビCMや新聞広告などのマスメディアが広告の主流で、大企業でなければ多くの消費者へ広告を出すことができませんでした。

しかし、現在ではインターネットの普及にともない、比較的小規模な企業でも少ないコストで広告を出せるようになりました。一方で参入コストが小さくなるということは、競合の数は増えることになります。

競合が増え、全体のコストも増加を続ける中、効率的に顧客を獲得・維持するためには、適切な顧客分析が欠かせません。

消費市場の変化

経済産業省が2017年に発表した「消費インテリジェンス研究会」の報告で、消費者の価値観は次の3つのように変化していると述べられています。

  1. 価格よりも「自分に合っているか」どうかで商品やサービスを選ぶ。
  2. 商品の背景にあるストーリーに共感し、そのストーリーまで商品の価値であると考える。
  3. モノの豊かさよりも心の豊かさを求める

この3点からも分かるように、高品質で低価格な製品やサービスであれば売れる時代は終わり、製品のストーリーやサービスを通して得られる体験が重要視されるようになりました。

その他にも、エコ商品やフェアトレード商品など環境や社会問題に配慮した商品購入を意識する「エシカル消費(倫理的消費)」、カーシェアリングなどに代表される「シェアリングエコノミー」といった新しい消費価値観が広がっています。

顧客ニーズの多様化

会社員 横断歩道

インターネットの普及により、消費者は一瞬でさまざまな情報を獲得し、取捨選択できるようになりました。

それに合わせて市場環境も大きく変化し、品質や価格だけで差別化をはかることは難しくなりました。これによって、顧客のニーズはより多様化し複雑になっています。

この流れを受け、マーケティング手法も万人受けを狙ったものではなく、顧客のニーズや傾向を把握してターゲット層を絞る必要があります。その上でそれをふまえた、顧客中心の手法へと変わっていかなければなりません。

広告費の高騰、消費市場の変化、ニーズの多様化といった観点からも、適切な販売戦略を行うためには、こまめな顧客情報のデータ化・整理・分析が必要不可欠です。CRM分析はそれらが可能な手法として注目を集めています。

CRM分析のための5つの分析手法

CRM分析の5つの手法

CRM分析は特定の分析手法を指しているのではありません。複数の分析手法を組み合わせて既存顧客を分析し、より詳しいデータを得ることをいいます。そのために、よく使われる分析手法を5つ紹介します。

デシル分析

デシル分析は、最も重要なターゲット層を絞り込むための分析です。購買履歴をもとに購入金額で顧客を10等分することで、全体売上に対して貢献度の高い優良顧客を見つけることができます。

デシル分析を行うことによって、購入単価の高い顧客には定期的なマーケティングを行うなど、マーケティングの優先度を決めることができます。

シンプルで比較的簡単にできる点がメリットですが、購入単価の高い顧客がまた同じ購買行動をとるとは限りません。他の分析手法を組み合わせ、その後の購買行動も分析していく必要があります。

RFM分析

スマホ 取り巻く環境

RFMは「Recency(リセンシー:購入時期)」「Frequency(フリクエンシー:購入頻度)」「Monetary(マネタリー:購入金額)」の頭文字です。

RFM分析は、この3つの指標を用いて顧客を「優良顧客」「新規顧客」「見込顧客」「離反顧客」などのグループに分類し、積極的なアプローチを行うべき、優良顧客や新規顧客などの売上アップにつながりやすいグループを明らかにするものです。

自社にとって有益な顧客のみに絞って投資を行うことで、利益率を向上させることができます。

CTB分析

CTB分析とは、「Category(カテゴリ)」、「Taste(テイスト)」、「Brand(ブランド)」の3つの指標で顧客をグループ化する方法です。

例えばアパレルの場合、カテゴリは商品がメンズなのかレディースなのかといった大まかな分類のことを指します。テイストは色・柄・素材のことをいい、ブランドはどのブランドの商品なのかということを表します。

CTB分析を行うことで、顧客が次にどんな商品を購入するかを高い精度で予測することができます。ただし、CTB分析を行うには品番だけではなく、商品の素材や色、模様といった細かな情報をデータベース化する必要があります。

LTV分析

グラフ

LTVは「Life Time Value(顧客生産価値)」の頭文字で、一人の顧客が生涯を通じて自社にもたらす利益のことを指します。商品やサービスへの顧客の愛着が高ければ高いほど、LTVが高くなる傾向があります。

LTVは「平均購買単価×平均購買頻度×平均購買期間」で求めることができます。LTVを向上させることで、営業コストの削減、優良顧客の傾向把握ができるなどのメリットがあります。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客を居住地・年齢・趣向・行動パターンなどの属性ごとに分けて市場を細分化し、ターゲットとなる顧客層を決定するための方法です。

一般的にセグメンテーション分析は、次の4つの切り口を軸に行われます。

  1. 地理的変数(ジオグラフィック変数):
    国・地域・都市の規模、人口、気候、文化・生活習慣などの要素で分類するもの。
  2. 人口動態変数(デモグラフィック変数):
    年齢、性別、職業、 家族構成などの要素で分類するもの。
  3. 心理的変数(サイコグラフィック変数):
    価値観や趣向、性格、ライフスタイルなど、消費者の感性に関わる要素で分類するもの。
  4. 行動変数:
    曜日・時間、購買経路や頻度など、消費者が購入時にとった行動に関わる要素で分類するもの。

さらに、セグメンテーションの有効性は、「4R」という次の4つの項目を用いて検討することができます。

  1. Rank(優先順位):各顧客層を重要度でランク付けできているか。
  2. Realistic(有効規模):そのセグメントは売上や利益が確保できる規模か。
  3. Response(測定可能性):そのセグメントの顧客の反応を測定・分析できるか。
  4. Reach(到達可能性):そのセグメントの顧客に効果的に到達できるか。

CRM分析を活かすためのコツ

CRM分析のコツとは?

CRM分析を上手に活用するためには、次の3点を意識しておく必要があります。

目的を明確にする

CRM分析は複数の分析手法を組み合わせ、さまざまな観点から顧客を分析することができます。

しかし、目的が明確になっていなければ、それにふさわしい結果を得ることができません目的はリピーター獲得なのか、優良顧客の育成なのか、営業コストの削減なのかをはっきりさせ、それに沿った分析手法を取り入れましょう。

複数の分析を掛け合わせる

会議

CRM分析は、顧客データを年齢や性別といった属性だけでなく、趣味や嗜好、購入頻度などを含めた多様な観点から分析することで顧客のLTVを最大化し、売り上げの向上を目指すものです。

そのためには単一の手法で顧客を分析して終わりではなく、さまざまな手法を用いて顧客を細分化しその傾向をつかまなければなりません。

長期的なスパンで考える

CRM分析を活かすには、顧客情報のデータベースを充実させていくことも重要です。顧客の連絡先や購入履歴といった情報だけでなく、頻度や予算、次期購入見込み、購買目的や志向などさまざまな情報を集める必要があります。

そのためには、マーケティング担当者だけでなく、営業担当や仕入れ担当など各部門での協力が不可欠です。 社内全体で情報収集・共有の仕組みをつくることで、効率よく情報収集し、データを活かすことができます。

しかし、CRMを導入したからといって、すぐにこれらを築くことは難しいでしょう。まずは詳細な顧客情報を正確に集めていくところから、長期的な目線で考えることが大切です。

CRMツールを導入した企業の成功事例

CRMツール導入企業の成功事例

CRM分析ツールを取り入れて業績をアップした企業の成功事例を2つご紹介します。

ナノユニバース

株式会社ナノ・ユニバースは1999年に発足し、全国各地に展開するアパレルのセレクトショップです。

ナノ・ユニバースでは店舗とECサイト、それぞれで会員システムとポイントサービスが運用され、顧客情報もポイントもバラバラで管理されている状態でした。

しかし、店舗やECサイトなどさまざまなチャネルで一貫したサービスが受けられるオムニチャネル戦略を実施するため、顧客情報を一元化するCRMツール導入を決めました。

顧客情報とポイント情報を統合し、店舗とECサイトのポイントが共通化されたことで、顧客満足度の向上につなげました。また、顧客情報の一元化で得られたビッグデータを活用し、ポイントサービスを用いた訴求ができるようになりました。

インターメスティック(Zoff)

眼鏡

Zoffブランドでメガネフレームやレンズの製造販売・輸出入を行うインターメスティックでは、もともと顧客情報を紙に記録して画像で保存し活用していました。

しかし、店舗数の増加や顧客の増加に紙ベースでの管理では追いつかなくなってきたこと、顧客から収集した多数の情報を顧客のデータ分析に活用できないことから、CRMツールを導入することになりました。

インターメスティックは1年をかけて全店にCRMツールとiPadを導入し、顧客の来店受付から商品の引き渡しまでiPad上でスムーズに完結できるようになりました。

また、この情報は全店て共有し、2回目以降の来店となる顧客に対して店員が購買履歴に沿った商品を薦めるなど、どの店舗であっても同一の顧客対応を可能にしています。

CRM分析を活かして売上アップにつなげよう

顧客のニーズが多様化している中、一律的なプロモーションで顧客を獲得し、維持していくことは困難になっています。

CRM分析では、さまざまな分析手法を組み合わせて、多面的に顧客を分析し、顧客一人一人に最適なアプローチ方法を知ることができます。

ただ、CRM分析はあくまで一つの手法にすぎず、活用して売上アップにつなげていくには、社内全体で情報収集・情報共有する仕組みづくりが成功のカギとなります。